株式会社ブリジア/代表取締役 橋本連 氏

オリジナルブランドBIMAKESをはじめ、国内外のセレクト家具・雑貨を扱う株式会社ブリジア。
実店舗とネットショップでお客様のライフスタイルに合わせた商品を販売しています。

自らデザインも行うという橋本社長に、創業からのお話をうかがいました。
同社が大切にしているビジョン、今後の展開とは?

八王子に家具店をオープンするまで
ブリジアの創業は2005年で、大手家具店に勤務していた仲間たちと起業しました。
設立時の会社所在地は新宿で、事業内容は家具の販売ではなく、人材紹介・人材研修・異業種交流会。
家具店でのマネジメント、社内研修講師などの経験はあるものの、強みと言えるのは「若さ」くらいのものだったので、他の業界や企業経営についても学ぶ必要があると思ったんです。

取り引き先の人材採用や求職者の転職相談に対応する中で、経営や管理について得た知識は、現在のブリジアの糧になっています。
また、異業種交流会を主催することで人脈を広げることができましたし、ネット広告を使った集客ノウハウも得ることができました。

2008年頃からリーマンショックの予兆を察知し、人材採用ニーズが激減すると予想。
悩んだ末に人材関連の事業から撤退を決意しました。
設立からの3年間で、大手のインテリアショップ、家具量販店へのコンサルティングも経験し、興味も理解も高まっていましたから、満を持してインテリア業界に挑戦することにしたんです。

インテリア業界では後発ベンチャーに当たるため、他社と異なる戦略が必要。
そこで、大手量販店では扱いのない、こだわりの家具を販売するセレクトショップを、ネット上に開くことにしたんです。
2009年に「BICASA(ビカーサ)」という屋号で、オフィシャルサイトと楽天市場、Yahooショッピングにオンラインショップを開店。
異業種交流会の集客で学んだネットの知識も役に立ちました。

しかし、ネットショップに特化したことで弊害も出てしまいます。
自分たちが扱いたいと思うメーカーからは、「実店舗でなければ作り手の想いをユーザーに伝えることができないだろうから」と、ことごとく取り引きを断られてしまうんです。
とはいえ、他のネットショップでも扱っているような商品を扱ったとしても、価格競争に巻き込まれるだけで、自分たちがやりがいを感じることもできません。

そこで、2010年に西八王子に初の実店舗をオープン。
これで、希望していたメーカーとの取引が可能になりました。
八王子という立地も有利に働きましたね。

こだわりの製品を作るメーカーの多くは、「卸先は1エリア1社」というのがインテリア業界の常識。
「八王子を含む多摩地域は東京23区とは商圏が別」という判断をしていただき、他社が都内で取り扱いをしているメーカーとも取引することができました。

そもそも八王子に出店したのは、私が八王子出身だからなんです。
八王子はライフスタイルを大切にした働き方ができる町。
産休から復職してくれる社員も多く、都心から郊外に拠点を移したことが、働きやすい会社づくりにつながったと思います。

株式会社ブリジア/代表取締役 橋本連 氏

オリジナルブランド「BIMAKES」の立ち上げ
多くの他社商品を取り扱う中で、デザイナーの方と直接お話をする機会が増えました。
商品を作るまでの想いやストーリーに触れ、自分でオリジナル商品を作りたいという気持ちが湧き起こりました。
そこで、2011年にメーカー事業に参入。
「BIMAKES(ビメイクス)」という自社ブランドを立ち上げました。

BIMAKESは、私がデザインを起こし、デザイン・材料・工程すべて徹底的にこだわりぬいたオリジナル商品を作っています。
イメージしているのはアメリカ西海岸のような自由でリラックスできる雰囲気。
ライフスタイルを大切にしたい方のために、空間を豊かにする商品を展開しています。

BIMAKESが初めて展示会に出展した際には、ありがたいことに1,000社から取り引きのお申し出をいただきました。
ただ、ボリュームディスカウントを求められるなど、BIMAKESのこだわりを理解していただけていないものがほとんど。
残念ながら、これらお申し出のほとんどはお断りすることとなりました。

私たちのものづくりに対する思いやデザインを評価してくださったのは1000社のうちの2社。
このとき出会った2社の企業とは今でもお取り引きをさせていただいています。

この展示会での経験がブランドの方針が定まるきっかけになりました。
大事なのは、効率ではなく、ていねいな仕事から生まれる深みや面白み。
デザインはもちろん、材料や工程にも妥協しない商品を展開していったところ、メディアにも取り上げていただく機会が増えました。

BIMAKESは、国内はもちろん、こだわりの部材が調達できる各国の産地に赴いて材料を仕入れ、職人さんとやりとりをしながら商品をつくっています。
木材なら、木目によって刃を変えたり、削り方まで1枚ずつ指示。布なら、糸の太さや色の指定はもちろん、目指す色が出るまで何度も染め直します。
生産性が悪すぎてなかなか他社で同じことはできないと思いますよ。
量産メーカーが1000個のパーツを作る間に、私たちの作り方では10個しか作ることができません。

素材自体の風合いにもこだわりがあります。
BIMAKESが使う鉄は、黒鉄。長らく、重くて錆びやすい黒鉄より軽くて加工しやすい白鉄が人気がありました。
ですが、BIMAKESでは黒鉄ならではのヴィンテージ感を重視しているんです。
今は黒鉄は仕入れるのにも苦労するほど希少なのですが、海外の工場をいくつも回り、安定供給できるようになりました。

ガラスも、一般的な家具に使われているのは透明で均質なもの。
BIMAKESでは味わいのある、気泡が入ってゆがんだガラスを使っています。
昔ながらの製法を再現し、レトロな雰囲気を演出しているんですよ。

BIMAKESという自社ブランドを立ち上げたことで、ブリジアの事業は、メーカー、実店舗、ネットショップの3本柱になりました。
中でも、売上の8割を占めるのがネットショップ。
ネット販売が好調な理由は、店舗で見て、帰宅後にネットで注文するなどの消費者行動の変化や、コロナ禍で「おうち時間」が増えたことによる、自宅のインテリアへの関心の高まりだと思います。

VR、AR、SNSライブ配信など、新しい技術も積極的に取り入れ、顧客との接点を多様化させたことも、売上に影響しています。
ライブ配信は「即売」というよりも、商品にかけた想いを伝えたり、お客さまとのコミュニケーションをとったりするための大切なツール。
配信終了後に、紹介したブランドの商品が売れるケースがよくあります。
また、既に商品をお買い上げいただいた方に、SNSで弊社の商品やお店を紹介していただくこともあり、これもいわゆるアーンドメディアとしてファンづくりにつながると思うので、ありがたいですね。

株式会社ブリジア/代表取締役 橋本連 氏

今後の展開
一部のメーカーにとどまっていたアウトドアブランドの取り扱いも、昨今のライフスタイルの変化に合わせて拡充。
10月には八王子本店のリニューアルオープンで、売場を1.5倍に広げる予定です。

また、八王子市内の草木が生い茂る、ジブリのアニメに出てくるような場所に、自社倉庫があるのですが、草刈りやリノベーションを自分たちの手で行い、インテリアとの融合で独特なガレージに仕上げました。
週2~3回交代でリモートワークをしていますが、秋にはアウトドアを楽しめる場として、地域の皆さんと一緒に楽しめるイベントを企画したいですね。

さらにその先、将来的に目指しているのは、土地も家もインテリアも含めたトータルプロデュース。
ブリジアを、お客様のライフスタイルに合わせた「自然体で居心地の良い空間」を作る会社として、もっと多角的にみなさまのお役に立てる存在にしたいと考えています。

株式会社ブリジア/代表取締役 橋本連 氏

企業情報
株式会社ブリジア

【事業内容】
家具インテリアの企画、製造、販売業
実店舗運営
WEB SHOP運営

【代表者】
代表取締役 橋本 連

【所在地】
本社/BICASA 八王子本店
東京都八王子市南町3-8 2F

BICASA マリンアンドウォークヨコハマ店
神奈川県横浜市中区新港1-3-1 マリンアンドウォークヨコハマ

コーポレートサイト
https://www.bridger.co.jp/

BICASA公式サイト
https://www.bicasa.jp/

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