株式会社京南/代表取締役 田澤孝雄 氏

「たまりば」編集部

2022年03月30日 08:00

「メンテナンスでときめきを」を理念に、洗車場・ガソリンスタンドを2軒ずつ運営する京南。月々1,980円~の「洗い放題」サービスを中心に、洗車事業に力を入れています。介護施設やボディケアサロンの運営など、次々と新しいチャレンジを進めている「2代目お坊ちゃん社長」こと、田澤孝雄代表取締役 にお話をうかがいました。

競合店と雨天が課題だった、スタンド・洗車事業
京南を父親が創業して多摩地区にガソリンスタンドを最大6店舗を構えるまでに成長しました。特に八王子インターSSは、中央高速道八王子インターチェンジからほど近い立地のため、遠距離を走る車・トラックなどの利用はあったものの、ガソリンスタンドの競合店も多かったですね。
当時は、ガソリンスタンドの敷地内に小さな洗車機が設置されていましたが、場所が狭いこともあって利用客はあまり多くありませんでした。

私は社長に就任した2007年に、ガソリンスタンドの隣接地に洗車専用の店舗「ふるーる洗車」を開業しました。他のスタンドとの差別化を図ることで、収益を延ばそうと考えたのです。

しかし、「ふるーる洗車」の稼働は、月に実質20日ほど。お店を空けていても、「雨の日」と「雨の前日」は洗車ニーズがなく、開店休業のような状態になってしまうのです。稼働率を上げることのできるアイデアはないものかと、日々頭を悩ませていました。


DX戦略で「雨との戦い」に勝つ!
利用率アップのために打ち出した対策の1つが、「洗い放題」サービスです。
月額1,980円~で、コーティングなどの高額メニューも含め、何度でも好きなだけ利用が可能。
ところが、以前から利用していただいていたお客様に積極的に案内をしていったものの、最初の5年間はあまり利用率が伸びませんでした。

利用登録を阻む大きな要因は、支払い方法です。一般的に、洗車場は利用の度に現金で支払うスタイルが主流。「ふるーる洗車」でも、都度現金払いを希望されるお客様が大半で、毎月の自動引き落としのために銀行口座を登録していただくステップが、非常に高いハードルでした。口座登録のために、受付で申込書を記入する手間もかかりますから、面倒に思われてしまうのです。

当時は、他業種を含め「サブスク」と呼ばれるサービスが現在のように広がっていませんでしたから、お客様に定額制のスタイルを理解していただくこともなかなか難しかったですね。

状況が大きく変わったのは2016年。スマホの普及に合わせ、WEBから申し込みができるようにしたことで、契約者数を一気に増やすことができました。

今はDX化にウエイトを置いています。
ガソリンスタンドや洗車場のスタッフというと、ITに弱いイメージがあるかもしれませんが、京南にはITに強いスタッフが複数名所属しており、SNS、YouTube広告を活かしたウェブマーケティングを強化し、自社でWEB申込ができる仕組みを作り上げることができました。
「洗車をネットで購入する」という全く新しいモデルを打ち出したことで、事業を完全に軌道に乗せることができましたね。
店舗の現場のことを理解した上でのDX戦略を実行できる会社として、今後ますます事業を発展させていきたいと考えています。


全国1,000店舗展開(FC加盟店/登録店含む)に向けて
八王子本店の成功体験をもとに、2号店となる「ふるーる洗車昭島 拝島店」をオープン。昭島市での新店開業は、八王子本店とは異なる立地でも、これまで行なってきた戦略が通用するのか、検証する意味合いもありました。ありがたいことに、拝島店も多くのお客様にご利用いただいており、今後の店舗展開の弾みとなっています。

八王子本店で洗車場をオープンして数年後に、全くの異業種となるウェルネス事業にも乗り出しました。ウェルネス事業は会社理念にも掲げている「メンテナンスでときめきを」を実現するための施策の1つ。愛車をメンテナンスするのと同様に、ご自身やご家族のことも大切にしてもらいたいという思いで、取り組んでいます。

ウェルネス事業の1つとして、リハビリデイサービス「nagomi」というフランチャイズに加盟し、小平で施設を運営しています。nagomiでは、「一生涯現役」「歩行の自立」をコンセプトに、マシンを使わない機能訓練と実践訓練に特化したプログラムを提供。介護保険に頼らない介護予防を10年以上にわたって展開しています。
また、セルフ・ボディケアサロン「kirakuni」も立ち上げました。こちらのサロンでは、​独自の2ステップ療術「脊髄通電療術」「温熱心療術」により、痛みや不調を減らし、カラダへの向き合い方を変える方法をお伝えしています。

主力事業である「ふるーる洗車」は、全国1,000店舗展開という大きな目標を掲げていますが、この目標は、弊社の力だけでは成し遂げることができません。そのため、直営店以外にFC店の展開を計画しており、2022年5月にはFC1号店がオープンする予定です。
この「ふるーる洗車」のFC展開を考える上では、リハビリデイサービスnagomiにFC加盟した経験が活かされました。

2020年に、私自身が父から会社を受け継いだ2代目社長であることから、「2代目お坊ちゃん社長の会」という一般社団法人を立ち上げました。この団体は、2代目経営者ならではの課題を共有するコミュニティであり、高収益を上げる会社に進化させるためのサポートを行なっています。
この2代目お坊ちゃん社長の会は、朝日新聞社総合プロデュース本部主催が主宰するコンテスト「中小企業SDGs ACTION! AWARDS」に、パートナー協賛しています。同コンテストは、DXによるSDGs達成に向けた取り組み・アイデアを募集するもの。私自身も、会社運営の中でSDGsとDX対応の重要性を身に染みて感じていたので、京南としてエントリー。多くの応募企業の中から、最終選考の7社に選定していただくことができました。弊社の取り組みやアイデアを評価いただけたことを、大変誇らしく、そしてありがたく感じています。

今後も、目標に掲げる「ふるーる洗車1,000店舗展開(FC加盟店/登録店含む)」に向け、引き続き邁進していきたいと思います。


企業情報
株式会社京南

【事業内容】
ENEOSガソリンスタンド、洗車場、洗い放題FC事業、特殊洗浄事業の運営

【代表者】
代表取締役 田澤 孝雄

【所在地】
・ENEOS 八王子インターSS
・ふるーる洗車八王子本店
〒192-0012 東京都八王子市左入町173

・ふるーる洗車昭島 拝島店
〒196-0002 東京都昭島市拝島町3-15-11

株式会社京南
https://kyounan-gr.com/

ふるーる洗車
https://www.coating-maintenance.com/

ENEOS八王子インターサービスステーション
http://eneos-ss.com/search/ss/pc/detail.php?SCODE=201283

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