株式会社けやき出版/代表取締役社長 小崎奈央子 氏

多摩の地域情報誌や食べ歩きガイドなど、多摩地域の情報を雑誌・書籍として発行してきた「けやき出版」。
4代目の社長に就任されて以来、「出版」という枠を超えた領域へと挑戦を続ける小崎奈央子社長にお話を伺いました。
長年、地域密着型の出版社として知られてきた同社が目指すものとは?

地域の皆さんと一緒に挑戦したいという想いで、先代からバトンを受け継ぐ
当社は、1981年創業で、地域情報誌、ラーメンやカレーなどの食べ歩きガイド、歴史・民俗関連の書籍など、多摩地域を題材にした本を多数発行させて頂いて来た出版社です。
多摩地域にお住いの方には、『たまら・び』を発売して来た出版社として名前を覚えて頂いている方が多いかもしれません。

私自身も、国立市・小平市・昭島市と、途中引っ越しはあったものの、ずっと多摩地域で暮らし続けています。
以前は、23区内にある出版社で自動車雑誌の編集の仕事をしていたのですが、子育てをしながらの都内への通勤が難しくなり、地元にある出版社で働きたいと考えて、2008年にこちらへ入社しました。
当時は、まさか「自分が経営者になる」だなんて思ってもいなかったのですが、「地域の皆さんと一緒に新しい挑戦をしたい」という想いを持って、先代からバトンを受け継がせて頂いたのが2015年。
当時、先代の社長は高齢だったため、会社を継ぐ人がいなければ会社をたたまざるを得ないという状況でした。

「地域の方たちに支えられながら、30年以上も続いて来た会社がなくなってしまうことへの寂しさ」ももちろんありましたが、それ以上に「挑戦したい」という想いが強く、跡を継ぐ決意を固めました。
一度たたむことまで考えた会社ならば、ゼロから立ち上げるくらいのつもりで、失敗を恐れず新しいことへの挑戦を!と、もともと担当していた編集の仕事にも社長業にも、全力投球をしています。
会社を変革するためには、まずは代表である自分が先頭を切って走らなければ、社員たちにも、お取り引き先の皆様や支えて頂いている地域の方々からも理解を得られませんからね。

社長になって5年なので、まだまだ挑戦を始めたばかりではありますが、社内の体制もだいぶ整備できたので、ここから事業を加速させていきたいと思っています。

株式会社けやき出版/代表取締役社長 小崎奈央子 氏

「出版」の枠を超えて、「まちと人をつなぐ」会社へ
会社を継承するにあたって、企業理念を「多摩に出版の灯を」から「多摩のまちとひとをつないでいく」へと刷新。
このフレーズには、出版という枠にこだわらず、地域の発展に寄与することができることであれば、事業として取り組んでいくという想いを込めています。

この考え方の土台となったのは、2014年から編集長を務めて来た「たまら・び」の経験です。
現在は『たまら・び悠』という名称で、多摩らいふ倶楽部さんの会報誌という形態になっていますが、私が編集長に就任した頃の『たまら・び』は、毎号、多摩地域にある1つの市町村にスポットを当て、地元で暮らす方々と一緒に企画や取材を行なうという参加型の編集スタイルをとっていました。

もちろん、書店に並ぶものは雑誌なので、ビジネスモデルは出版という枠の中ではあったのですが、この雑誌を作り上げていく過程で出会った地元愛に溢れる方々との繋がりが、私たちの強みの1つだと感じています。

当社が強みを活かして行なうべき事業は、地域の方々に参加して頂きながら、多摩の魅力を発信していくこと。
そのためには、出版という手法をとることもあれば、Webを活用することも。
さらには、「メディア」という枠さえも超えた展開も行なっていきたいと考えています。

株式会社けやき出版/代表取締役社長 小崎奈央子 氏

多摩エリアを「働く場所」へ、地域のブランディングに貢献したい
今、私たちが力を入れている取り組みの1つに「TeiP」(テイプ)があります。
東京都の「インキュベーションHUB推進プロジェクト」に採択された、多摩地域のクリエイターを中心とした創業支援事業です。

多摩地域には420万もの人が暮らしていて、30の市町村が存在しています。
地域の課題解決や魅力の発信には、地元に住むクリエイターの力が不可欠。

そう考えた私たちは、地元の信用金庫、まちづくり会社、キャリアデザイン事業を行なうNPO法人の方々と一緒に、「クリエイター」、パートナーとなる「企業・行政・団体」、営業やマネジメントを行う「コーディネーター」の3者をつなぐプラットフォームとして、「TeiP」を立ち上げました。

それぞれの立場の人たちが気軽に交流できる「TeiP BAR」(のちにBALL.BARに名称を変更)というイベントを開催したり、多摩エリアにクリエイティブな仕事を増やすための実践的な学びと交流の場である「TeiP SchooL」を開催しています。
TeiP BARやTeiP SchooLに参加して頂いた地元のクリエイターさんたちと一緒に、多摩地域の魅力を発信していく。
これが、まさに経営理念「多摩のまちとひとをつないでいく」を具現化するための第一歩です。

そして、TeiPに関わって下さった方などの力を借りながら2020年6月に創刊したのが、『BALL.』という雑誌。
「多摩地域の仕事」をテーマにしたもので、Webやイベントとも連動した展開をしていきます。

仕事にスポットを当てたのは、多摩地域を「都心へ通勤する人たちのベッドタウン」としてではなく、「働く場所」として魅力あるエリアだということを発信したかったから。
『BALL.』という媒体を通じて、多摩で暮らすことに誇りを持てるような地域のブランディングに貢献できれば幸いです。

株式会社けやき出版/代表取締役社長 小崎奈央子 氏
企業情報
株式会社けやき出版

【事業内容】
●一般書・地域の本の出版
●自費出版・社史・カタログの制作
●WEBサイト用取材・原稿作成
●自治体・企業を中心としたPR発行物の制作
●クリエイターの創業支援

【代表者】
代表取締役社長 小崎奈央子

【所在地】
〒190-0023
東京都立川市柴崎町3-9-6 高野ビル1F

【URL】
https://keyaki-s.co.jp/


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    2007年7月にオープンした多摩の地域密着型ブログサービス「たまりば」が、地域経済の発展にも寄与すべく、2020年7月より、地域に根付いた経営をされている中堅・中小企業様をご紹介し、たまりば独自の経営者様のコミュニティを創出しようと、社長インタビューコーナーをオープンさせて頂きました。

    企業の社長様を掲載して終わりというコーナーではなく、業種を超えて、地域を超えて、ビジネス共創コミュニティをつくりあげたいと考えています。
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