株式会社エコプリンス/代表取締役 相川吉彦氏


甲州街道沿い、西八王子駅近くにあるBOOKOFF20号西八王子店。
こちらの店舗をフランチャイズとして経営するエコプリンスの相川吉彦 代表取締役にお話を伺いました。

「100人の社長を育てる」という目標への感銘から、ついに起業
まずは、リユース業界に関わるきっかけについてお話しさせて下さい。
大学卒業後、5年間はテニスのインストラクターをしていました。
ところが、1990年代後半にはテニスブームも下火になり始め、他の業界への転身を考えるようになったんです。

実家がレコードショップを経営していたこともあり、私は音楽を聴くのが大好きです。
実家の店舗を継ぐという選択肢もなくはない考えですが、レコードショップ業界も同様に顧客離れが進んでいました。
その原因の1つがBOOKOFF(ブックオフ)のようなリユースショップの台頭です。

これから成長していく業態であるのと併せて、会社が掲げる理念・目標に共感し、1998年にFC開拓・独立を目的とするBOOKOFFのグループ会社で勤務することに。
「処分されてしまうゴミをなくす。地球環境を大切にする」という理念と、「社内で100人の社長を育てる」という目標に感銘を受けて入社しました。
私自身も、100人の中の1人になりたいという熱い思いを抱いて、夢中に働く毎日でしたね。

ただ、30代を超えたころ全国転勤が体力的に厳しくなり、地域密着型のリユース企業への転職を考えるようになりました。
いろいろなリユース企業から声をかけていただいた中、多摩地域を拠点とするゼロエミッションというBOOKOFFのFC加盟企業へ転職しました。
この会社も、「起業を支援する」という考えを持っていたことが魅力的でした。
社長のすぐ近くで仕事をさせてもらえたことも、経営を学ぶ上で大きく役立ち、感謝しています。
入社して11年が経ったころ、一緒に働いていた同僚たちが1人、2人と独立・起業していく姿を見て、「自分も起業したい」という思いがますます高まっているのを感じていました。

そんなことを考えていたタイミングで、以前からお付き合いのあったBOOKOFF20号西八王子店のFCオーナーさんが「後継者がいなくて困っている」と相談を受けたことがきっかけで、FCオーナーの権利を引き継いだのが株式会社エコプリンスの始まりです。
テニスのインストラクター時代から振り返ると、遠回りをしてきたような気もしますが、「起業したい」という夢がついに実現しました。


高齢者向けの出張買取、若者向けにレトログッズ、さらにラーメン自販機!?
当社では「事業活動を通じての社会貢献」「全従業員の物心両面の幸福を追求する」という経営理念を掲げています。
「エコロジー」「エコノミー」「SDGs」という言葉を頻繁に耳にするようになりましたが、BOOKOFFのリユース事業はまさにこれらを実現するものです。
従業員にも、こうした考え方に共感して働いてもらいたいと願っています。

具体的な事業のお話しに入りますが、BOOKOFFは中古の書籍・CD・DVD・ゲームソフトなどを売買するお店です。
BOOKOFF20号西八王子店の周辺は高齢の方が多いので、「出張買取」のニーズが高いという特徴があります。
今後、ますます高齢化が進むと考えられることから、出張買取のサービスを充実化させていきたい考えです。

中古品販売の市場規模は急成長中。
特にホビー・玩具やブランド品、衣料品、スマホ、アウトドア用品、パソコンが伸びています。
反対に、書籍・メディアソフト・子ども用品といったジャンルは縮小しています。

対策としてBOOKOFF20号西八王子店では、他のBOOKOFFと差別化を図るためレトロゲーム、レトログッズ、トレーディングカードなどの買い取り、販売に力を入れています。
Amazon、ヤフオクにも出品していて、こちらも思った以上に売上が伸びているため、ECにも力を入れているところです。

それから、全く話が変わりますが、店舗敷地内に「ラーメン自販機」を設置して地域の方々の間で注目していただいています。
これも差別化の1つですね。


次の目標はオリジナルブランドの店舗を出してみたい!
以前はFC加盟店はオリジナルブランドの出店を禁止されていたのですが、BOOKOFFのルールが緩和され、書籍以外のジャンルであればオリジナルブランドの店舗を出すことが許可されました。
これを受けて2023年8月より『エコマカナ』と言うネットでのアウトレットストアを開設しました。日用品・家電・衣料品などを中心に販売していきます。

この他にも新業態を模索中です。

例えば遺品整理サービス。
現在は遺品整理サービスを行なうパートナー企業と協業して遺品の買い取りを行なっているのですが、いずれは自社単体で遺品整理サービスを完結できるようになりたいと考えています。

遺品整理にも競合企業はたくさんいらっしゃいますが、BOOKOFF20号西八王子店を経営する私たちだからこそ提供できる特別な価値があります。
通常の遺品整理は、整理してもらう側のお客様が支払う一方ですが、取り扱い可能な物については買い取りをさせていただくことで、買い取り金額分をお客様にお支払いをすることができるのです。
ただ整理・片付けをして終わりではなく、出張買取のサービスも含まれているというイメージですね。

1~2年以内にはオリジナルブランドの新店舗を出してみたいと考えています。


企業情報
株式会社エコプリンス

【事業内容】
リユースショップの運営

【代表者】
代表取締役 相川吉彦氏

【所在地】
BOOKOFF20号西八王子店
東京都八王子市千人町3-18-24

株式会社エコプリンス
https://ecoprince.co.jp/

Amazonエコプリンス店
https://www.amazon.co.jp/s?me=A2BJTF6SL56IFP&marketplaceID=A1VC38T7YXB528&redirect=true

ヤフオク!BOOKOFF西八王子店
https://auctions.yahoo.co.jp/seller/bookoff2014?p=%E8%A5%BF%E5%85%AB%E7%8E%8B%E5%AD%90&auccat=&aq=-1&oq=&ei=UTF-8&anchor=1&slider=0#localnavi




  • 株式会社京南/代表取締役 田澤孝雄 氏


    「メンテナンスでときめきを」を理念に、洗車場・ガソリンスタンドを2軒ずつ運営する京南。月々1,980円~の「洗い放題」サービスを中心に、洗車事業に力を入れています。介護施設やボディケアサロンの運営など、次々と新しいチャレンジを進めている「2代目お坊ちゃん社長」こと、田澤孝雄代表取締役 にお話をうかがいました。

    競合店と雨天が課題だった、スタンド・洗車事業
    京南を父親が創業して多摩地区にガソリンスタンドを最大6店舗を構えるまでに成長しました。特に八王子インターSSは、中央高速道八王子インターチェンジからほど近い立地のため、遠距離を走る車・トラックなどの利用はあったものの、ガソリンスタンドの競合店も多かったですね。
    当時は、ガソリンスタンドの敷地内に小さな洗車機が設置されていましたが、場所が狭いこともあって利用客はあまり多くありませんでした。

    私は社長に就任した2007年に、ガソリンスタンドの隣接地に洗車専用の店舗「ふるーる洗車」を開業しました。他のスタンドとの差別化を図ることで、収益を延ばそうと考えたのです。

    しかし、「ふるーる洗車」の稼働は、月に実質20日ほど。お店を空けていても、「雨の日」と「雨の前日」は洗車ニーズがなく、開店休業のような状態になってしまうのです。稼働率を上げることのできるアイデアはないものかと、日々頭を悩ませていました。


    DX戦略で「雨との戦い」に勝つ!
    利用率アップのために打ち出した対策の1つが、「洗い放題」サービスです。
    月額1,980円~で、コーティングなどの高額メニューも含め、何度でも好きなだけ利用が可能。
    ところが、以前から利用していただいていたお客様に積極的に案内をしていったものの、最初の5年間はあまり利用率が伸びませんでした。

    利用登録を阻む大きな要因は、支払い方法です。一般的に、洗車場は利用の度に現金で支払うスタイルが主流。「ふるーる洗車」でも、都度現金払いを希望されるお客様が大半で、毎月の自動引き落としのために銀行口座を登録していただくステップが、非常に高いハードルでした。口座登録のために、受付で申込書を記入する手間もかかりますから、面倒に思われてしまうのです。

    当時は、他業種を含め「サブスク」と呼ばれるサービスが現在のように広がっていませんでしたから、お客様に定額制のスタイルを理解していただくこともなかなか難しかったですね。

    状況が大きく変わったのは2016年。スマホの普及に合わせ、WEBから申し込みができるようにしたことで、契約者数を一気に増やすことができました。

    今はDX化にウエイトを置いています。
    ガソリンスタンドや洗車場のスタッフというと、ITに弱いイメージがあるかもしれませんが、京南にはITに強いスタッフが複数名所属しており、SNS、YouTube広告を活かしたウェブマーケティングを強化し、自社でWEB申込ができる仕組みを作り上げることができました。
    「洗車をネットで購入する」という全く新しいモデルを打ち出したことで、事業を完全に軌道に乗せることができましたね。
    店舗の現場のことを理解した上でのDX戦略を実行できる会社として、今後ますます事業を発展させていきたいと考えています。


    全国1,000店舗展開(FC加盟店/登録店含む)に向けて
    八王子本店の成功体験をもとに、2号店となる「ふるーる洗車昭島 拝島店」をオープン。昭島市での新店開業は、八王子本店とは異なる立地でも、これまで行なってきた戦略が通用するのか、検証する意味合いもありました。ありがたいことに、拝島店も多くのお客様にご利用いただいており、今後の店舗展開の弾みとなっています。

    八王子本店で洗車場をオープンして数年後に、全くの異業種となるウェルネス事業にも乗り出しました。ウェルネス事業は会社理念にも掲げている「メンテナンスでときめきを」を実現するための施策の1つ。愛車をメンテナンスするのと同様に、ご自身やご家族のことも大切にしてもらいたいという思いで、取り組んでいます。

    ウェルネス事業の1つとして、リハビリデイサービス「nagomi」というフランチャイズに加盟し、小平で施設を運営しています。nagomiでは、「一生涯現役」「歩行の自立」をコンセプトに、マシンを使わない機能訓練と実践訓練に特化したプログラムを提供。介護保険に頼らない介護予防を10年以上にわたって展開しています。
    また、セルフ・ボディケアサロン「kirakuni」も立ち上げました。こちらのサロンでは、​独自の2ステップ療術「脊髄通電療術」「温熱心療術」により、痛みや不調を減らし、カラダへの向き合い方を変える方法をお伝えしています。

    主力事業である「ふるーる洗車」は、全国1,000店舗展開という大きな目標を掲げていますが、この目標は、弊社の力だけでは成し遂げることができません。そのため、直営店以外にFC店の展開を計画しており、2022年5月にはFC1号店がオープンする予定です。
    この「ふるーる洗車」のFC展開を考える上では、リハビリデイサービスnagomiにFC加盟した経験が活かされました。

    2020年に、私自身が父から会社を受け継いだ2代目社長であることから、「2代目お坊ちゃん社長の会」という一般社団法人を立ち上げました。この団体は、2代目経営者ならではの課題を共有するコミュニティであり、高収益を上げる会社に進化させるためのサポートを行なっています。
    この2代目お坊ちゃん社長の会は、朝日新聞社総合プロデュース本部主催が主宰するコンテスト「中小企業SDGs ACTION! AWARDS」に、パートナー協賛しています。同コンテストは、DXによるSDGs達成に向けた取り組み・アイデアを募集するもの。私自身も、会社運営の中でSDGsとDX対応の重要性を身に染みて感じていたので、京南としてエントリー。多くの応募企業の中から、最終選考の7社に選定していただくことができました。弊社の取り組みやアイデアを評価いただけたことを、大変誇らしく、そしてありがたく感じています。

    今後も、目標に掲げる「ふるーる洗車1,000店舗展開(FC加盟店/登録店含む)」に向け、引き続き邁進していきたいと思います。


    企業情報
    株式会社京南

    【事業内容】
    ENEOSガソリンスタンド、洗車場、洗い放題FC事業、特殊洗浄事業の運営

    【代表者】
    代表取締役 田澤 孝雄

    【所在地】
    ・ENEOS 八王子インターSS
    ・ふるーる洗車八王子本店
    〒192-0012 東京都八王子市左入町173

    ・ふるーる洗車昭島 拝島店
    〒196-0002 東京都昭島市拝島町3-15-11

    株式会社京南
    https://kyounan-gr.com/

    ふるーる洗車
    https://www.coating-maintenance.com/

    ENEOS八王子インターサービスステーション
    http://eneos-ss.com/search/ss/pc/detail.php?SCODE=201283




  • 株式会社夢現舎/代表取締役 飯田公司 氏


    通信技術を活用したコミュニケーションで、企業や地域の課題を意欲的に解決し、人々の暮らしを豊かにしている夢現舎。
    同社が掲げるビジョン、そこから生まれた技術とは?飯田代表にお話をうかがいました。

    明るい未来を実現する道具、ビジョナリー・ウェア
    私は大学卒業後、制御系システム会社に入社し、システムの開発現場を23年間経験しました。その後、独自のサービスを開発・提供したいと考えるようになり、2008年に夢現舎を設立。

    夢現舎が目指しているのは「日本文化をICT/IoTで支援する、ビジョナリーウェアカンパニー」です。
    「まぶしいくらいに明るい未来(ビジョン)を実現する道具(ウェア)」という思想で開発を進めており、そうして開発した製品・サービスを『ビジョナリー・ウェア』と呼んでいます。導入、利用が開始されて終わりではなく、導入した時点から成長や進化が始まる。『ビジョナリー・ウェア』という言葉には、弊社の想いが込められています。

    設立当初から、ソフトウェア受託開発の他、国会議員選挙の世論調査や出口調査のコンサルティング業務、サーバーホスティングサービスといった事業を行っています。
    出口調査のシステムは、大手通信社を通じ民放や新聞社で発表される情報の土台となるもの。皆さんが選挙速報などでご覧になっている情報の、インフラ部分を担当しています。


    場所や人に合わせて、情報を発信
    2014年からはiBeaconを用いたサービス「mD-Signage」の提供を始めました。
    iBeaconとは、近距離無線技術「Bluetooth Low Energy(BLE)」を利用し、Beacon端末にBluetoothを搭載したスマホを持って近づくと、情報をスマホに表示させることができる機能。

    この新サービス誕生のきっかけは、以前は多く見かけた電車のつり革広告を見かけなくなったことです。
    交通広告は、沿線地域の情報を消費者に届けるのに便利な存在でしたが、スマホの普及で電車内の広告を見る人が少なくなってしまったんでしょうね。
    それならばと逆転の発想で、「スマホを交通広告に代わる広告媒体にすることができないか?」と考えました。
    iBeaconを用いると「鉄道沿線の住民向け」という大まかな切り口ではなく、「今この場所の半径10m以内にいる人向け」といった情報発信が可能です。

    弊社が開発したiBeaconを用いた情報配信サービス「mD-Signage」は、東京タワー、増上寺、浅草エリア、小田原城、栃木市などでご利用いただくここができ、多摩地域でも八王子市の「日本遺産『桑都物語』音声ガイド」、「八王子まつりガイド」、「八王子生活ガイド」、「八王子Short Film 映画祭ガイド」、多摩市の「たまのはし」、青梅市の「御岳山まるごとガイド」などでご利用いただいています。
    多言語対応も可能なため、外国人観光客の方にも観光地やイベントを楽しんでもらうことができるサービスとして、東京を中心に、各地の観光地で導入していただいています。

    また、産学連携の地域プログラムとして、東京工科大学様との連携で、八王子の音楽情報キュレーションサービス、香川大学様との連携で、香川県高松兵庫町商店街の活性化施策としても活用いただきました。

    アプリを使ったサービスは、ユーザーに個別のアプリをインストールしてもらうこと自体が難しく、大きな課題でした。「mD-signage」で使用するアプリは、1つのアプリを各導入先で画面を切り替えて使用でき、ユーザー獲得のハードルが下がる点も優れた特徴のひとつ。
    アプリの個別インストールを省略し、ユーザーを共有する技術「アプリのインストール省略および利用者共有のシステム」は、特許も取得しています。


    「mD-Signage」を全国、そして世界へ
    東京2020オリンピック開催に向け、東京のコンテンツを中心に集めようという考えから、サービスの提案先も東京が大半でしたが、今後は「mD-Signage」ともに、地方へ展開を広げていく予定です。
    個人的に温泉好きなこともあって、温泉のある観光地を中心に、日本全国を回りたいですね。その先の海外進出も構想中です。

    今後も、会社設立時に掲げた「日本文化をICT/IoTで支援する、ビジョナリーウェアカンパニー」として、社会に貢献していきたいと思います。
    企業情報
    株式会社夢現舎

    【事業内容】
    インフラ事業、ICT/IoTサービス

    【代表者】
    代表取締役 飯田 公司

    【所在地】
    本社 東京都八王子市南大沢1-20-16
    支社 東京都八王子市堀之内3-34-1 3F

    株式会社夢現舎
    https://www.mugensha.jp/

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  • 株式会社共創空間/代表取締役 小柳次郎 氏


    八王子駅北口の商店街ユーロード沿いにある「コワーキングスペース八王子8Beat」。
    近年、コワーキングスペースの店舗は続々と増えていますが、8Beatには他店と異なる独自の特徴があるようです。
    8Beatを経営する、共創空間の小柳社長にお話を伺いました。

    8Beatができるまで
    八王子と関わるようになって23年になります。先輩が経営していたシステム会社を引き継いだことが、私と八王子との出会いでした。会社を経営して15年ほど経った時、ふと、長年働いているのに八王子に知り合いがいないことに気付いたんです。

    そこで、地元の仲間を作ろうと「八王子ITネットワーク」に参加。「八王子ITネットワーク」は、産学官連携の産業活性化組織「サイバーシルクロード八王子」のIT分科会です。そこで当時、注目を集めていたオープンデータ活用を模索する団体として「Code for Hachioji」を立ち上げました。ただ、ミーティングをする場所がなくて…。

    この時、ミーティング場所がなくて困ったことが8Beat誕生につながりました。
    自分たちでスペースを用意しようと模索する中で、その場所を自分たちだけで使うのではなく、「コワーキングスペース」として、ビジネス化することにしたのです。

    コワーキングスペースとは、個人事業主や一部企業に所属している方々が、同じ場を利用して各々の仕事をする施設のこと。単なる場所貸しではなく、たまたま同じ時間帯にスペースを利用している人同士で、協業する話が生まれることもあるんです。

    8Beatの利用者は、やはりIT関連の方が多いですね。変わったところでは、伝統工芸家の方が作品作りの場としてご利用していただくこともありますし、会議室を使ってのミニセミナーや、地域の方々の交流イベントを開催することもあります。

    私が地元の知り合いがほしいと思ったことから始まった事業なので、利用者の方にも、地元の仲間を増やす場として活用していただけているのが嬉しいですね。



    8Beatの現在
    2014年の創業以来、ありがたいことに売上は順調に伸張。企業の終身雇用がが当たり前ではなくなったことや、ITエンジニアの独立志向が高まったことなどが背景にあると思います。
    行政も創業支援に力を入れ、後押しをしてきました。
    ただ、創業支援に関する行政の動きは、ここ3年ほどの間で徐々に弱まって来ているように感じています。

    ここのところの大きな変化は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、一気にリモートワークを推奨する企業が増えたことです。
    8Beatでは、お勤めの方にリモートワークの場として活用いただく機会は以前からありましたが、「自宅で仕事に集中できないから」とご利用いただくケースも増えています。



    来たる、第2の創業期
    リモートワーク需要の高まりと並行して、近隣にも競合となるコワーキングスペースが増えてきていますね。
    8Beatでは、需要が高まる今こそが利用者の心をつかむチャンスと捉え、更なるサービスの充実策としてスペース拡張を含むリニューアルを予定。
    入居しているビルの隣のテナントが空くという絶好の機会に恵まれたこともあり、熟考した上での一大決心です。

    増床するスペースは今年7月上旬オープン予定。
    シェアオフィスのほか、定員20名程度の大会議室、少人数での打ち合わせやWEB会議などで利用できる小会議室、休憩ルームなどを設置します。

    また、現在使用しているスペースも、とある改装を行うんです。
    この改装を機に、今回のリニューアルの目玉と位置付けている、新規事業を開始します。
    コワーキングスペース内に「スタジオ」を設置。
    このスタジオにミニFMラジオ局を開設し、FMおよびネットでの発信を行なう予定です。
    ミニFMラジオ事業は、地域ラジオ放送のプロデュース経験があるパートナーが担当してくれるんですよ。

    私は、今回の増床とミニFMラジオ局開設は、共創空間の第2創業期と位置付けていて、新しい8Beatを皆さんにお披露目できる日が今からとても楽しみです。
    リニューアルを期に、利用者の方のニーズにこれまで以上に幅広く応え、地域の皆さんと共に発展していきたいと考えています。



    企業情報
    株式会社共創空間

    【事業内容】
    コワーキングスペースの運営

    【代表者】
    代表取締役 小柳次郎

    【所在地】
    本社/東京都八王子市子安町4-20-8
    店舗/東京都八王子市三崎町4-11トーネンビル5F

    ホームページ
    http://8beat.tokyo/




  • 株式会社ブリジア/代表取締役 橋本連 氏


    オリジナルブランドBIMAKESをはじめ、国内外のセレクト家具・雑貨を扱う株式会社ブリジア。
    実店舗とネットショップでお客様のライフスタイルに合わせた商品を販売しています。

    自らデザインも行うという橋本社長に、創業からのお話をうかがいました。
    同社が大切にしているビジョン、今後の展開とは?

    八王子に家具店をオープンするまで
    ブリジアの創業は2005年で、大手家具店に勤務していた仲間たちと起業しました。
    設立時の会社所在地は新宿で、事業内容は家具の販売ではなく、人材紹介・人材研修・異業種交流会。
    家具店でのマネジメント、社内研修講師などの経験はあるものの、強みと言えるのは「若さ」くらいのものだったので、他の業界や企業経営についても学ぶ必要があると思ったんです。

    取り引き先の人材採用や求職者の転職相談に対応する中で、経営や管理について得た知識は、現在のブリジアの糧になっています。
    また、異業種交流会を主催することで人脈を広げることができましたし、ネット広告を使った集客ノウハウも得ることができました。

    2008年頃からリーマンショックの予兆を察知し、人材採用ニーズが激減すると予想。
    悩んだ末に人材関連の事業から撤退を決意しました。
    設立からの3年間で、大手のインテリアショップ、家具量販店へのコンサルティングも経験し、興味も理解も高まっていましたから、満を持してインテリア業界に挑戦することにしたんです。

    インテリア業界では後発ベンチャーに当たるため、他社と異なる戦略が必要。
    そこで、大手量販店では扱いのない、こだわりの家具を販売するセレクトショップを、ネット上に開くことにしたんです。
    2009年に「BICASA(ビカーサ)」という屋号で、オフィシャルサイトと楽天市場、Yahooショッピングにオンラインショップを開店。
    異業種交流会の集客で学んだネットの知識も役に立ちました。

    しかし、ネットショップに特化したことで弊害も出てしまいます。
    自分たちが扱いたいと思うメーカーからは、「実店舗でなければ作り手の想いをユーザーに伝えることができないだろうから」と、ことごとく取り引きを断られてしまうんです。
    とはいえ、他のネットショップでも扱っているような商品を扱ったとしても、価格競争に巻き込まれるだけで、自分たちがやりがいを感じることもできません。

    そこで、2010年に西八王子に初の実店舗をオープン。
    これで、希望していたメーカーとの取引が可能になりました。
    八王子という立地も有利に働きましたね。

    こだわりの製品を作るメーカーの多くは、「卸先は1エリア1社」というのがインテリア業界の常識。
    「八王子を含む多摩地域は東京23区とは商圏が別」という判断をしていただき、他社が都内で取り扱いをしているメーカーとも取引することができました。

    そもそも八王子に出店したのは、私が八王子出身だからなんです。
    八王子はライフスタイルを大切にした働き方ができる町。
    産休から復職してくれる社員も多く、都心から郊外に拠点を移したことが、働きやすい会社づくりにつながったと思います。


    オリジナルブランド「BIMAKES」の立ち上げ
    多くの他社商品を取り扱う中で、デザイナーの方と直接お話をする機会が増えました。
    商品を作るまでの想いやストーリーに触れ、自分でオリジナル商品を作りたいという気持ちが湧き起こりました。
    そこで、2011年にメーカー事業に参入。
    「BIMAKES(ビメイクス)」という自社ブランドを立ち上げました。

    BIMAKESは、私がデザインを起こし、デザイン・材料・工程すべて徹底的にこだわりぬいたオリジナル商品を作っています。
    イメージしているのはアメリカ西海岸のような自由でリラックスできる雰囲気。
    ライフスタイルを大切にしたい方のために、空間を豊かにする商品を展開しています。

    BIMAKESが初めて展示会に出展した際には、ありがたいことに1,000社から取り引きのお申し出をいただきました。
    ただ、ボリュームディスカウントを求められるなど、BIMAKESのこだわりを理解していただけていないものがほとんど。
    残念ながら、これらお申し出のほとんどはお断りすることとなりました。

    私たちのものづくりに対する思いやデザインを評価してくださったのは1000社のうちの2社。
    このとき出会った2社の企業とは今でもお取り引きをさせていただいています。

    この展示会での経験がブランドの方針が定まるきっかけになりました。
    大事なのは、効率ではなく、ていねいな仕事から生まれる深みや面白み。
    デザインはもちろん、材料や工程にも妥協しない商品を展開していったところ、メディアにも取り上げていただく機会が増えました。

    BIMAKESは、国内はもちろん、こだわりの部材が調達できる各国の産地に赴いて材料を仕入れ、職人さんとやりとりをしながら商品をつくっています。
    木材なら、木目によって刃を変えたり、削り方まで1枚ずつ指示。布なら、糸の太さや色の指定はもちろん、目指す色が出るまで何度も染め直します。
    生産性が悪すぎてなかなか他社で同じことはできないと思いますよ。
    量産メーカーが1000個のパーツを作る間に、私たちの作り方では10個しか作ることができません。

    素材自体の風合いにもこだわりがあります。
    BIMAKESが使う鉄は、黒鉄。長らく、重くて錆びやすい黒鉄より軽くて加工しやすい白鉄が人気がありました。
    ですが、BIMAKESでは黒鉄ならではのヴィンテージ感を重視しているんです。
    今は黒鉄は仕入れるのにも苦労するほど希少なのですが、海外の工場をいくつも回り、安定供給できるようになりました。

    ガラスも、一般的な家具に使われているのは透明で均質なもの。
    BIMAKESでは味わいのある、気泡が入ってゆがんだガラスを使っています。
    昔ながらの製法を再現し、レトロな雰囲気を演出しているんですよ。

    BIMAKESという自社ブランドを立ち上げたことで、ブリジアの事業は、メーカー、実店舗、ネットショップの3本柱になりました。
    中でも、売上の8割を占めるのがネットショップ。
    ネット販売が好調な理由は、店舗で見て、帰宅後にネットで注文するなどの消費者行動の変化や、コロナ禍で「おうち時間」が増えたことによる、自宅のインテリアへの関心の高まりだと思います。

    VR、AR、SNSライブ配信など、新しい技術も積極的に取り入れ、顧客との接点を多様化させたことも、売上に影響しています。
    ライブ配信は「即売」というよりも、商品にかけた想いを伝えたり、お客さまとのコミュニケーションをとったりするための大切なツール。
    配信終了後に、紹介したブランドの商品が売れるケースがよくあります。
    また、既に商品をお買い上げいただいた方に、SNSで弊社の商品やお店を紹介していただくこともあり、これもいわゆるアーンドメディアとしてファンづくりにつながると思うので、ありがたいですね。


    今後の展開
    一部のメーカーにとどまっていたアウトドアブランドの取り扱いも、昨今のライフスタイルの変化に合わせて拡充。
    10月には八王子本店のリニューアルオープンで、売場を1.5倍に広げる予定です。

    また、八王子市内の草木が生い茂る、ジブリのアニメに出てくるような場所に、自社倉庫があるのですが、草刈りやリノベーションを自分たちの手で行い、インテリアとの融合で独特なガレージに仕上げました。
    週2~3回交代でリモートワークをしていますが、秋にはアウトドアを楽しめる場として、地域の皆さんと一緒に楽しめるイベントを企画したいですね。

    さらにその先、将来的に目指しているのは、土地も家もインテリアも含めたトータルプロデュース。
    ブリジアを、お客様のライフスタイルに合わせた「自然体で居心地の良い空間」を作る会社として、もっと多角的にみなさまのお役に立てる存在にしたいと考えています。


    企業情報
    株式会社ブリジア

    【事業内容】
    家具インテリアの企画、製造、販売業
    実店舗運営
    WEB SHOP運営

    【代表者】
    代表取締役 橋本 連

    【所在地】
    本社/BICASA 八王子本店
    東京都八王子市南町3-8 2F

    BICASA マリンアンドウォークヨコハマ店
    神奈川県横浜市中区新港1-3-1 マリンアンドウォークヨコハマ

    コーポレートサイト
    https://www.bridger.co.jp/

    BICASA公式サイト
    https://www.bicasa.jp/




  • 吉田観賞魚販売株式会社/代表取締役 吉田俊一 氏


    観賞魚の取り扱い店として、地元・八王子を中心に、多摩地域で愛されている吉田観賞魚販売株式会社。大正10年に創業し、100周年を超えてなお進化を続けています。観賞魚販売に留まらず、ガーデニング事業庭園工事まで幅広く事業を行う吉田観賞魚の三代目、吉田俊一社長にお話を伺いました。

    時代を先取りしてきた吉田観賞魚

    初代である祖父が創業した当時は、卸専門で小売りはせず、食用の鯉の養殖を行っていました。父の代で、錦鯉・金魚・熱帯魚など観賞魚の流通と園芸事業へと発展させたんです。

    父は、1972年に緑化事業部「八王子ガーデニングセンター」を設立。ガーデニングが日本でブームとなるのは1990年代後半ですから、だいぶ先取りした事業ですよね。

    そして1980年代から徐々に錦鯉や金魚などの観賞魚の取り扱いを開始。さらに、他社に先駆けて錦鯉の輸出を始めます。輸出先は香港から始まり、シンガポールやヨーロッパ、アメリカなど10ヶ国以上。まだ海外で錦鯉の美しさが知られていなかった頃のことですから、苦労もありましたが、この輸出開拓が、その後の熱狂的な海外での錦鯉人気につながったかもしれません。

    家業を継ぐにあたり、私はこれから小売業の時代が来ると感じていました。しかし当時は今と違い、卸が小売を行う事は一般的ではなかったんです。ですから、1985年に、総合ペット園芸小売店のガーデンコア・ヨシダをオープンしたのは、かなり大きな決断でした。多くのお客様が店舗にお越しくださって、本当に安心しましたし、家業を引き継いでいく自信にもつながりましたね。
    事業を専門化し、現在の形に
    高尾駒木野庭園

    1990年、私は3代目として社長に就任しました。
    観賞魚の販売は長年順調でしたが、90年代後半にホームセンターが熱帯魚などの販売を開始。価格競争が起こったため、卸売を縮小しました。一方、1997年には「ガーデンコア・ヨシダ」を、観賞魚専門店「ヨシダフィッシュファームズ」と園芸専門店「グリーンギャラリーガーデンズ」に分離。

    この時の改装工事は、社内の人間を中心に行ったんです。自分たちの手で店舗を作り上げたことが自信につながり、2000年に東京ガーデンショーに挑戦。日本企業としてはトップの準グランプリをいただきました。

    現在、ガーデニングと観賞魚に関しての小売りはもちろん、庭園の施工や施設の飼育管理など幅広く対応しています。2027年度に竣工予定の東京駅前の再開発、TOKYO TOURCHでは、今夏に完成予定の「小千谷錦鯉の池」は、設計施工・錦鯉の飼育管理を担当しています。八王子の高尾駒木野庭園の鯉の飼育管理も弊社が行っております。
    持続可能な社会、地元への愛着

    世界中で「SDGs」の重要性が叫ばれていますが、まずは身の回りにあることから持続可能な社会を実現するためのお役に立ちたいと思っています。

    観賞魚販売では、飼育管理の専門性を持つ人材の育成が重要だと考えています。観賞魚の専門店が減ったことで、正しい知識を得ることなく観賞魚を購入し、飼育管理に失敗するようなケースがとても心配です。
    弊社では、私が専務理事を務める「日本観賞魚振興事業協同組合」の観賞魚飼育管理士の資格を取得した従業員が10名おり、専門知識の提供も含めた接客・販売をしています。

    新型コロナウイルス感染防止のためのステイホーム期間中は、観葉植物などを購入されるお客様が増えました。これは、外出自粛が求められる中で、豊かな暮らしのため、より快適な空間を求められたことの表れだと思います。今後も、魚や植物など、生き物と共に生きることの大切さを伝えていきたいですね。

    100年に亘って弊社が事業を営んできた八王子は、都会と田舎の両面を持つ魅力的な街です。八王子の中でも本社のある由木地区は、里山とニュータウンが共存する独特の地域。この地域に古くから住む住民と、新たに住み始めた人たちが交流できる機会を増やそうと、2015年から「大栗川キャンドルリバー」という住民交流イベントを開催しています。2020年は感染症拡大防止のためZoomでライブ配信する形になりましたが、多くの皆さんにご参加いただくことができました。

    これからも八王子に恩返しをしながら、これまでに得た知識や経験を後世に伝え、業界の発展に寄与していきたいですね。
    企業情報
    吉田観賞魚販売株式会社

    【事業内容】
    園芸植物・栽培用品・観賞魚・飼育用品、ガーデニング工事設計施工、生鮮野菜・食品雑貨、レストラン

    【代表者】
    代表取締役 吉田俊一

    【所在地】
    【本社】
    東京都八王子市松木13番地1

    【店舗】
    ・本店
    東京都八王子市松木15番地3

    ・京王百貨店屋上観賞魚売場
    東京都新宿区西新宿1丁目1-4番地

    ・グリーンギャラリーガーデンズたまプラーザ店
    神奈川県横浜市青葉区美しが丘1-1-2 たまプラーザテラス ゲートプラザ1F

    【URL】
    https://yoshida-fish-farms.com/

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  • 株式会社開拓使/代表取締役 北澤秀彦 氏


    産地直送の新鮮な食材を用いた店舗を多摩地域に展開する「株式会社開拓使」の北澤社長にお話を伺いました。
    八王子の採れたて野菜や、十勝港をはじめとする様々な海産物を扱う居酒屋「けいの家」が1号店。創業からわずか6年で4店舗を展開し、コロナ禍にもたくましく躍進する同社の強み、成功の鍵とは?

    開拓使、運の引き寄せ方「食で途を拓く」
    当社は本気で食材と向き合っています。産地直送の食材を使っているだけでなく、食材への愛着、商品に関する知識の向上を図るため、産地を訪れる研修旅行も実施しています。八王子の畑だけでなく、北海道十勝や、北前船の寄港地などにも訪れているんですよ。

    私は、学生時代にとある立川の居酒屋に巡り合いました。飲食未経験のアルバイトからスタートし、そのままその企業に入社。店長、多摩地域35店舗のエリアマネージャーと、ご縁にも恵まれて比較的早いスピードでキャリアを積むことができました。そして社員として10年目を迎えた2014年、一念発起し独立を決意したのです。

    長年エリア担当して来た多摩地域に出店する事は決めていました。しかし、長年飲食業に携わってきたとはいえ、物件探しや金策、施工会社探しなど分からない事だらけ。これまで企業の一員だった自分には、店舗運営以外の知識がなかったことを思い知らされました。

    そんな中、八王子商工会議所・サイバーシルクロードなどが主催する「本気の創業塾」で知り合った方々に幅広くサポートしていただき、無事スタートを切る事ができました。退社して退路を断った事が走り切る原動力となったと思いますし、またその真剣な思いが伝わって助けていただけたのではないかと思います。

    主軸となる生産者さんとのつながりは、本当に地道な努力で一人、また一人とお付き合いを増やしていきました。お客様として来店した農家さんを仕入先として口説き落としたり、クレームをきっかけに知り合った農家さんと取引を始めたり。よい食材をお客様に届けたいという思いが生産者さんに届いたのかなと思います。ありがたいことに、知り合った農家さんから別の生産者さんを紹介いただくことも多いですね。


    コロナ禍でも躍進!あの手この手「想像力と創造力」
    創業店である「けいの家 八王子本店」を筆頭に、開拓使の店舗はみな、こだわり食材をおいしくいただける地元密着のお店としてお客様の信頼を得て来ました。
    当社の店舗メニュー表には、生産地や農家の名前だけでなく、土地のストーリーやキャッチコピーまで、詰め込めるだけ詰め込んであるんです。ふとした空き時間などにキャッチコピーなどを考えたりするのは本当に楽しいですね。

    このコロナ禍においては、いち早くテイクアウトメニューを準備し、人気メニューのオンラインサイトを立ち上げるなど、スピード感を持って動いてきたつもりです。それも全て生産者、お客様、そして従業員の事を考えたから。苦しい飲食業界ですが、まずは従業員の生活を守れるよう、これからも力を尽くしていきたいと思っています。

    7月から始めたけいの家「出張宴会」サービスは、今でなければ思いつかなかった施策かもしれません。宴会はしたい、でもお店に行くのは気が引ける…。そんなお客様の痒い所に手が届くサービスではないかと思います。言うなればお店丸ごとのテイクアウトですね。
    会社の会議室などで、他のお客様と同席することなく出来立てのお料理を召し上がっていただけます。徹底した衛生対策を施し、単なる刺身の提供ではなく魚の解体ショーを行うなど、これまでのケータリングなどのサービスとは一線を画していると思います。

    新しい事を始めるには手間もリスクもあります。しかし、それでお客様が喜んでくれるなら、従業員が守れるなら、作り手の想いの詰まったおいしい食材を食べてもらえるならと、思い切って始めてみました。結果、移動や三密によるリスクを軽減しながら宴会を楽しめると 好評をいただくことができました。今後も多摩エリアを対象にサービスを続けていきたいと思っています。


    開拓使の未来の一手「一滴の今を、食の未来の源流に」「地域を潤す清冽な湧水となる」
    生産者のこだわりや想いをメニューを通して伝えていく、という信念は今後も変わることがありません。

    今、誰もが経験したことのない危機的状況の中、飲食業はインフラであると気付きました。これまでも地元の方々に愛されるための努力は惜しみませんでしたが、外食は幸せや癒しのひとつであり、生活の必需品であるという思いが更に強くなったんです。時勢に即応しながら、今後もあの手この手を考え、当社のサービスが、皆様を笑顔にする一助になればと願っています。

    いつも社員には「蒔かない種に芽は出ない」と言っているんです。まずはコロナ禍に奇跡などは起きないことを前提として、攻めと守りのバランスをとりながら、多角的に営業を続けたいと思っています。それが新メニューなのか、新業態なのか、新店舗なのか。今は、はっきりと決めることは難しい時期です。今蒔いた種からどんな花が開くのかは、天の配剤ですから。

    「一滴の今を、食の未来の源流に」という企業理念の通り、一滴の滴が、今後どんな形で食の未来に関わっていくかを常に意識していたいですね。


    企業情報
    株式会社開拓使

    【事業内容】
    東京都多摩地域で「農夫と海女の逢瀬」をコンセプトに飲食店を3店舗運営しています。
    全国の産地を直接訪問して海産物や農産物を厳選。生産者との強いつながりを武器に、より新鮮で価格を抑えたメニューを提供し続けています。

    生産者のこだわりや想いをメニューを通して伝えています。
    食材への愛着、商品に関する知識の向上を図るため、八王子の畑のみならず、北海道十勝の産地や、北前船寄港地を訪れる研修旅行も実施。

    【代表者】
    代表取締役 北澤 秀彦

    【所在地】
    本社︓東京都八王子市明神町3-9-1 MKビル1階

    【店舗】
    けいの家八王子本店
    東京都八王子市明神町3-9-1

    けいの家八王子みなみ野店
    東京都八王子市兵衛1-1-10

    農耕民族×狩漁民族
    東京都日野市日野本町4-6-4 安西ビル2F

    【URL】
    https://kaitakushi.co.jp/
    求人情報
    ホールスタッフ(けいの家八王子本店)/株式会社開拓使


    調理・調理補助(けいの家八王子本店)/株式会社開拓使







  • 株式会社三幸社/代表取締役社長 打越裕介 氏


    八王子市内の本社に加え、アメリカ・タイ・中国と、海外にも事業を拡げ、ワイシャツ自動折り機の分野で世界一のシェアを誇る、株式会社三幸社の打越裕介社長にお話を伺いました。
    多摩地域は製造業が盛んですが、世界の市場で勝ち抜いてきた同社の歴史には、どのような背景があったのでしょう?
    また、これから先、どのようなビジョンを描いているのでしょうか?

    1軒のクリーニング店から国内トップシェアの機械メーカーへ
    当社は、今でこそ「世界一のシェアを誇る業務用クリーニング機械メーカー」として業界内で認知されるようになっていますが、実は創業当初は機械の開発・製造なんて全く知らない、小さなクリーニング店でした。
    1968年に、中野区の商店街で「三幸舎クリーニング」という小さなクリーニング店をオープンしたのが、当社のルーツなんです。
    「美しく、早く、お得な料金」を信条にお客様の立場に立ったサービスを心掛け、近隣の同業者が偵察に来るような繁盛店だったんですよ。

    加えて、ものづくりへの関心も高い父は、自分のクリーニング店で使用していた機械の改良も手掛け始めます。
    機械づくりの始まりは調布市の自宅。1975年のことです。

    例えば、自分のお店で使用していたドライクリーニング機に蒸留器が付いておらず、それが仕上がりの品質に悪影響をしていると気付くと、蒸留機付きドライクリーニング機に改良したり、ウールの仕上げ作業を効率化させるスチームキャビネットを自分で開発したり。
    ものづくりが好きな父のアイデアがクリーニング店で必要とされる機械づくりへと活かされ、2,3の同業者から、三幸舎クリーニングで使用しているものと同様のスチームキャビネットの製作依頼が入り、本格的に機械づくりを事業として取り組み始めます。

    1977年に八王子市上柚木に工場を建設、1979年に有限会社三幸社を設立。
    主力製品となっていたスチームキャビネットに続いて、ワイシャツ仕上げを機械化した「サンフォーマ―」の開発に取り組み、これがヒット。
    現在まで続く当社のワイシャツ仕上げ機の原型とも呼べる製品ですね。

    クリーニング店から機械メーカーへの転身を遂げた背景には、ものづくりに対する父の情熱があったことはもちろんですが、別な事情として、小児喘息を患っていた長男(=私)や住宅ローンを抱えながら、家族と会社を守ろうと考え抜いての選択がありました。
    クリーニング店は、春と秋が繁忙期で夏と冬は閑散期。
    収入は不安定にならざるを得ず、経営を安定させ、会社を発展させるためには、クリーニング店を続けることよりも、機械メーカーを本業とすることが最善の選択肢だったのです。

    三幸社の製品は、日本国内で順調にシェアを伸ばし、1986年~1987年に現在の本社所在地である八王子市叶谷町へ工場を移転・増築、1988年には株式会社化、1990年に第二工場を建設と、会社の規模も大きくなっていきます。
    当時、国内最大のクリーニング機械メーカーの従業員数は60名ほどでしたが、この頃、三幸社で働く人の数は100名を超えていました。
    国内トップクラスのシェアを持つ立場にまで成長していたのです。


    アメリカ進出とリーマンショック、そしてアジアへ
    私は1993年に三幸社に入社し、当初は国内向け販売業務を担当、続いて財務の見直しに携わるようになりました。

    日本国内の市場は既に成長のピークを過ぎており、会社の将来を考えると事業戦略の転換が急務でした。
    既存の製品で獲得した市場へ新商品を売り込むのか?それとも既存製品を新たなマーケットへ売り込むのか?の選択が必要だったのです。

    当社が選択したのは、後者。
    もともとクリーニング業が盛んだったアメリカ進出を決意し、本格的にリサーチを開始します。
    シカゴのクリーニング展に出展し現地の声を積極的に聞き、手応えを掴んだ当社は、ちょうど私が入社したのと同じ1993年にシカゴ支店を設立。
    幸い、当社の機械の性能とフォロー体制が認められるようになり、アメリカでの利益額が三幸社の全利益額の半分を占めるまでに成長しました。

    2007年には、八王子での新工場設立やアメリカ進出などで抱えて来た有利子負債の圧縮に成功。
    父である創業社長や副社長の資金面での苦労を見て来た1人として、また財務改善を担当して来た立場として、大変喜びを感じたのを覚えています。

    ところが、2008年にリーマンショックが起こるとアメリカ経済が急激に沈下。
    円高が進み日本の工場で製造した製品を輸出していた当社にとっても影響は小さなものではありませんでした。
    ただ、幸いなことに、1年ほど前から予兆を感じ在庫をさばくことを優先してきたこととで、影響は最小限に食い止めることができました。

    円高で、国内で生産したものを海外で販売するというモデルの見直しが必要と判断し、2011年にタイに現地法人を設立。
    当時のタイ法人は、中国市場への販売を念頭に置いた生産拠点という位置づけで、中国各地で開催される展示会への出店でリサーチや現地パートナーとの人脈構築を進め、2015年の中国大連での現地法人設立に至ります。
    中国は広大な面積を誇り、当社の製品を必要としてくださる顧客も各地に点在していたため、当社の現地法人は中国国内で販路を持つパートナー向けのフォローを担当し、パートナーが販売しやすい環境づくりに力を入れています。


    次に目指すのはアジアダイナミズム市場と、国内シルバーエコノミー
    今後の展望としては、従来より行なってきている北米マーケット向けの販売拡大とともに、タイを成長性の高いアジアダイナミズムマーケットへ向けての中心拠点へと再設定をし、中国のみならず東南アジアへも販路を拡大していきたいと考えています。

    そして日本国内においては高齢化社会が抱える課題解決に貢献する製品開発を行なっていきたいと考えています。
    2018年に創業40周年を迎えたわけですが、今後も事業を継承し、50年・100年と続く企業として、社会に貢献する活動・企業文化は欠かすことができません。

    ただ、この構想が走り始めた矢先、2020年に入ると世界で新型コロナウイルスの感染が拡大し始め、一時的に軌道修正をしています。

    コロナ禍であっても私たちが持つ工場で社会に貢献できることはないか?と考え、「お店deマスク」という飛沫感染防御スクリーンの生産・販売を開始しました。
    ありがたいことに、もともとお付き合いのあったクリーニング業界のみではなく、飲食店さんや一般企業のオフィス内でもご利用頂いており、コロナ禍ならではの社会貢献や、新市場の開拓にも繋がっています。

    時代の変化に柔軟に対応しつつ、アジア市場の販路拡大、高齢化社会の課題解決に取り組み、100年企業を目指して参ります。
    企業情報
    株式会社三幸社

    【事業内容】
    国内のみならず世界のお客様から⽀持されている業務⽤クリーニング機械のリーディングカンパニ
    ーです。
    主⼒製品であるランドリー仕上機・ドライ仕上機・タタミ包装機の開発、製造販売を⾏っており、
    国内市場、北⽶市場でトップシェアを占めています。
    株式会社三幸社は、⽇本、北⽶、欧州・オセアニア地域、中国・韓国を始めとするアジア地域を中
    ⼼とした世界市場に向けて、顧客起点の開発思想と⻑年培った技術で、⾼品質・⾼付加価値な「も
    のづくり」及びマーケティングを実践しています。

    【代表者】
    代表取締役社長 打越裕介

    【所在地】
    本社︓東京都⼋王⼦市叶⾕町988

    (関連会社)
    三幸社ホールディングス株式会社
    東京都⼋王⼦市叶⾕町988

    三幸社フィルム&サプライ株式会社
    ・本社︓東京都⼋王⼦市叶⾕町988
    ・⼯場︓北海道岩⾒沢市東町⼀条3丁⽬90-1

    ⽶国現地法⼈ Sankosha USA Inc.(⽶国販売会社)
    1901 Landmeir Rd.Elk Grove Village, IL 60007

    タイ現地法⼈ Sankosha Thailand Co.,Ltd.(タイ⼯場)
    700/720 Moo 3, Tambol Bankao, Amphur Phanthong, Chonburi Province 20160 Thailand

    中国現地法⼈Sankosha (Dalian) Co.,Ltd.(⼤連コンサル会社)
    遼寧省⼤连市⻄岗区中⼭路147号森茂⼤厦ビル17F(1701E)

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    電子設計(2021年度新卒者)